›June 03, 2004

2004.6.3 (木)

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昨日は良かった体調も昨晩から悪化し、今日はかなり弱っている。嘔吐物に血液と見られるものも混じっている。
今日は楽しみにしていた千葉県佐倉市の「歴史民俗博物館」に行こうと予定していた日だったのだが、結局無理になってしまった。親父にとって「来週」という予定はもうたてられない。
加速度的に病状が悪くなっている。
昨日は何とか食物を取り込もうと努力していたのが(結果として)逆効果になってしまったのだろうか。今日を楽しみにしていたんだろうな。

昨日の話では、体重は43kg、今日の計測では42kgだったと言う。一歩一歩死神が近付いてきている。
3月頭ぐらいには51kgほどあったと言っていたから、もう10kg近く失った。見ている所、その殆どはこの1ヶ月間で失われているように感じる。手術後から一気に悪化している。

少し安定してきたので夕方、車椅子に乗ってお袋と3人で車で散歩に行った。葛西臨海公園に行き、観覧車に乗る。オレは初めて乗った。そして色々進歩しているのだと感心した。全て車椅子のままで乗り降り出来るようになっていた。乗り場の2階までエレベーター、そして乗り降りの際は観覧車を止めて、タラップをしいてくれた。
その後、車上から眺めながらお台場を通り、レインボーブリッジを通り、ちょっと飲みたいと言うのでスターバックスのエスプレッソコーヒーを買って帰った。
「明日は無い」という覚悟を自分に再確認した。

飲み物は「氷水(こおりみず)」だけになった。昨日あたりからとてもベタベタした痰(たん)が出るようだ。あっという間にティッシュが無くなる早さ。
それからここ2〜3日から、やたらと「風呂好き」になった。本人曰く「こんなに清潔好きなのは生まれて初めてだ。(笑)」とのこと。何だろうと思っていたが、理解出来た。
今使っている鎮痛剤は貼るタイプの薬で皮膚から吸収される。これは末期ガン患者に使われる「麻薬成分入り」なのだ。ちなみに数箱分で30万円近くしたらしい。手に入りにくくしている訳か。
この鎮痛剤は体温が上がって血行が良くなると「ちょっと効き過ぎる」ようなのだ。つまりお風呂に入ると少し楽になるようだ。薬の使い方としては邪道であり、このような使い方はしない方が良いと言われていたが、これは致し方ない。鎮痛剤は昨日量を増やしたのだが、それを上回るペースで病状が進んでいるのか。
親父は昨日もおとといも良く眠れていないと思う。おそらく眠れないのだと思う。日中も少し眠って、また起きて執筆している。
今日の体調の悪さに親父もいよいよと思ったのだろう。執筆のペースを上げたと言っていた。無理はしないで欲しいのだが、キーボードを打てなくなるのも正に時間の問題だと思ったに違いない。iBookに気力で立ち向かっている。今日は立ち上がるのも「何とか一人で」の状態。秋頃どころか「7月」が遠い彼方の先に感じる。
何も食えねぇんだもんなぁ。

姉夫婦が東京に来るのは6月15日。まだほぼ2週間あるよ。何とか間に合ってくれ。
孫の顔を見たがっている。
今の親父には2週間は長すぎて、短すぎる。

先週すたすた歩いて通った道を、今日は車椅子で通る。来週など未知数だ。きちんと明日が親父にも来て欲しいのみ。

オレが何とも悔しく感じる時は、「あれ食べたかったなぁ。」とか「あそこ行ってみたかった。」という希望を叶えてあげられない時だ。今日はそんな気持ちになった日だった。